# PCゲームにおけるインプットラグとシステムレイテンシとは?
インプットラグ(入力遅延)は、ユーザーがマウスをクリックしたりキーボードを押したりする物理的操作を行ってから、画面上にその結果が描画されるまでの正確な時間遅延を表します。競争要素の強いeスポーツや素早い操作が求められるゲームにおいて、システムレイテンシを最小限に抑えることは、照準の正確さや操作の追従性を向上させるために極めて重要です。システムレイテンシは、USBポーリング、OSのイベント処理、ゲームエンジンの描画処理、GPUフレームバッファ、モニターの応答速度など、複数のパイプライン遅延が積み重なって発生します。ブラウザ上でのレイテンシ測定の仕組み
performance.now() から取得した高精度のハードウェアタイムスタンプと、DOMイベント(pointerdown および keydown)を組み合わせて測定を行います。requestAnimationFrame を通じてイベント登録と画面描画サイクルを同期させることで、物理入力からブラウザ内での描画更新までのローカルタイミング差を計算します。 # スイッチから画面表示までの信号パイプライン
入力遅延を効果的に改善するためには、周辺機器のスイッチ動作からディスプレイの表示に至る一連の信号チェーンを理解する必要があります。システム全体のレイテンシは、周辺機器、OS処理、描画パイプライン、ディスプレイパネルの遅延の合計です。| パイプライン構成 | 一般的な遅延 | 主なボトルネック | 最適化手順 |
|---|---|---|---|
| 周辺機器スイッチ | 0.2 ms - 5.0 ms | デバウンス処理、接点バウンス | オプティカルスイッチの採用 |
| USBポーリングレート | 0.125 ms - 8.0 ms | 125Hz vs 1000Hz / 8000Hz | ポーリングレートを1000Hz以上に設定 |
| OSイベントキュー | 0.5 ms - 3.0 ms | バックグラウンド処理 | ゲームモードの有効化 |
| 描画エンジン | 4.0 ms - 20.0 ms | CPU負荷、スレッド同期 | NVIDIA Reflex / Anti-Lagの利用 |
| GPUフレームバッファ | 8.0 ms - 33.0 ms | VSync有効化、複数バッファ | VSyncオフ、VRR(G-Sync等)の活用 |
| ディスプレイ処理 | 1.0 ms - 15.0 ms | テレビのスケーラー処理 | モニターのゲームモード設定 |
GPU負荷が高い場合のフレームキュー遅延の軽減方法
GPU使用率が99%に達すると、グラフィックドライバーは滑らかさを優先して複数のフレームを事前にキューに保持します。これにより30ms〜50msの大きな入力遅延が発生します。これを防ぐには、フレームレートをGPUの最大能力より少し低く制限するか、NVIDIA Reflexを有効にします。# ゲーミングマウス、キーボード、タッチパネルの遅延比較
入力デバイスの種類によって、使用しているハードウェア構造や通信プロトコルに応じた異なる遅延特性が存在します。ゲーミングマウス
高速ワイヤレス(2.4GHz)または有線接続。
- 1000Hzから8000Hzのポーリングレート
- デバウンス遅延のない光学式スイッチ
- 超低モーション遅延センサー
メカニカルキーボード
キーマトリクススキャンとデバウンス制御。
- Rapid Trigger対応の磁気ホロースイッチ
- 最大8000Hzのマトリクススキャンレート
- アクチュエーションポイントの変更可能
モバイルタッチパネル
静電容量方式デジタイザのサンプリング。
- タッチサンプリングレート(120Hz - 480Hz)
- OSコンポジターによる描画遅延
- 静電容量フィルタリング処理
# リフレッシュレートがディスプレイ遅延に与える影響
画面のリフレッシュレートは、理論上発生する最小の表示遅延を直接左右します。- 60 Hz ディスプレイ: 1フレーム = 16.67 ms (平均表示遅延: ~8.33 ms)
- 120 Hz ディスプレイ: 1フレーム = 8.33 ms (平均表示遅延: ~4.16 ms)
- 144 Hz ディスプレイ: 1フレーム = 6.94 ms (平均表示遅延: ~3.47 ms)
- 240 Hz ディスプレイ: 1フレーム = 4.17 ms (平均表示遅延: ~2.08 ms)
- 360 Hz ディスプレイ: 1フレーム = 2.78 ms (平均表示遅延: ~1.39 ms)
- インプットラグ (Input Lag)
- ユーザーの物理的な操作から画面に反映されるまでの経過時間。
- ジッター (Jitter)
- 測定値の標準偏差であり、システムの応答性の安定度を示します。
- VSync (垂直同期)
- 画面の引き裂き(ティアリング)を防ぎますが、入力遅延が増加します。
- 可変リフレッシュレート (VRR)
- G-SyncやFreeSyncのように、GPUの出力に合わせてリフレッシュレートを変動させる技術。
# オンラインブラウザ測定のメリットと注意点
専用の測定機材を必要とせず、ブラウザ上で手軽に入力遅延をベンチマークできます。ブラウザ測定の評価
- 特別なソフトウェアのインストールや機材が不要
- performance.now によるマイクロ秒単位の高精度タイマー
- 異なるデバイスやブラウザ間の比較テストが即座に可能
- ブラウザのイベントループやOSのウィンドウマネージャーの影響を受ける
- 液晶やOLEDの応答速度(GtG)を直接光度測定することは不可
- セキュリティ対策によるタイマー精度の丸め処理が存在する場合がある